日本で会社を経営している外国人が持っている在留資格(いわゆるビザ)には期限があります。
その在留期間の更新は、これからも日本で事業を続けられるかどうかを左右する、とても大切な手続きです。
これまでは「大きな問題がなければ更新できる」と考えられてきましたが、近年、その状況が少しずつ変わってきています。

最近の在留期間更新の審査では、労働保険・社会保険・税金といった公的な義務を、きちんと果たしているかどうかが、以前よりも重く見られるようになってきました。
これは一時的な運用変更ではなく、政府が進めている外国人政策の見直しとも関係しています。

政府が示している制度見直しの方向性

報道によると、政府は、外国人の在留管理をより適切に行うために、マイナンバーを使って、税金や社会保険料の支払い状況を国と自治体の間で共有する仕組みを検討しています。

この仕組みが導入されると、2027年以降、出入国在留管理庁が、税金や社会保険料がきちんと納められているかを直接確認できるようになるとされています。
そして、税金や社会保険料の未納がある場合には、在留期間の更新を認めないという方針も示されています。

これは、在留期間の審査が、これまでのような「書類がそろっているかどうか」だけの確認から、実際に法律上の義務を果たしているかどうかを見る審査へと変わりつつあることを意味します。
また、制度が本格的に始まる前から、すでに現場の審査では同じ考え方でチェックが行われている点にも注意が必要です。

現在の在留期間更新審査で見られる変化

日本で会社を経営している外国人が在留期間の更新を申請する場合、本人だけでなく、その人が経営している会社の状態も確認されます。
具体的には、次のような点がチェックされます。

労働保険(労災保険・雇用保険)に正しく加入しているか
社会保険(健康保険・厚生年金)に加入し、保険料を支払っているか
法人税や消費税、住民税などの税金をきちんと納めているか

これらがきちんと守られていることは、「安定した事業を、適法に行っている会社であるかどうか」を判断する重要な材料になります。
反対に、労働保険や社会保険の未加入、保険料の未納がある場合には、更新が認められない、あるいは審査が長引くといったリスクが現実のものになっています。

未加入・未納があるとどうなるのか

労働保険や社会保険に入っていない、または保険料を納めていない場合、在留期間更新では次のような影響が考えられます。

まず、更新が認められない可能性があります。
公的な義務を果たしていない場合、「経営・管理」の活動を適切に行っていないと判断されることがあるためです。

次に、審査が長引くことがあります。
未納の理由や、これまでの対応について説明を求められ、追加の書類提出が必要になるケースも少なくありません。

未加入・未納が見つかった場合の対応

もし、労働保険や社会保険の未加入・未納があることが分かった場合は、できるだけ早く対応することが重要です。

具体的には、労働基準監督署や年金事務所に相談し、制度の適用関係を整理したうえで、必要な手続きを行います。
過去にさかのぼって加入することは可能ですが、その場合、未納分の保険料や延滞金が発生することもあります。そのため、早めに専門家へ相談することが安心につながります。

是正が終わった後は、きちんと支払ったことを示す書類をそろえ、在留期間更新の際に「必要な対応はすでに行っている」と説明できる状態にしておくことが大切です。

おわりに

在留期間の更新は、もはや「更新だから大丈夫」という手続きではなくなっています。
今後、政府の方針が制度として具体化されれば、労働保険・社会保険・税金をきちんと管理していることが、日本で事業を続けるための前提条件になると考えられます。

将来の更新で困らないためにも、日頃から会社の公的な手続きや支払い状況を一度見直しておくことをおすすめします。

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山本善子
山本善子